筋肉痛(遅発性筋痛)

元日に張り切って立木さんに初詣に行って参りました。我が家では立木さんと呼び、初詣にはよくお参りに行きますが、立木観音は浄土宗の寺院で新西国三十三箇所の20番だそうです。800余段の階段を昇り降りして、案の定、翌々日に筋肉痛になってしまいました。
久しぶりに張り切って運動したのはいいけれど、次の日に体のあちらこちらが痛い…。こんな経験をしたことのある方も多いでしょう。筋肉痛とは、運動によって傷ついた筋肉の線維を修復しようとするときに起こる痛みだと考えられています。
⑴ 筋肉痛とは?
⑵ なぜ痛みが生じるのか?
⑶ なぜ時間を置いて痛むのか?
⑷ 筋肉痛になりやすい運動は?

⑴ 筋肉痛とは運動に伴って起こる筋肉の痛みです。一般的には、運動が終わった数時間後から1~2日後というように、時間を置いて起こる「遅発性筋痛」が、「筋肉痛」と呼ばれています。慣れない運動を行ったとき、普段使わない筋肉を使いすぎた場合などに顕著に現れます。

⑵ 筋肉痛のメカニズムは、医学的には、はっきりと解明されていません。
かつては、運動したときに生じる疲労物質「乳酸」の蓄積が原因だとする説もありましたが、その矛盾点が指摘されていることから、現在は、運動によって傷ついた筋線維を修復しようとするときに起こる痛みであるという説が有力となっています。

① 普段使わない筋肉を突然使ったり、同じ筋肉を使いすぎたりすることで、筋肉を構成している線維(=筋線維)や周りの結合組織に微細な傷がつく。
② 損傷した筋線維を修復するために白血球を中心とした血液成分が集まる。このとき「炎症」が起き、刺激物質(ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジンなど)が生産され、筋膜(筋肉を包んでいる膜)を刺激する。それが感覚中枢を介し、痛みとして感じる。
つまり筋肉痛とは、傷ついた筋線維を修復する過程で炎症が起き、生成された刺激物質が筋膜を刺激して起こるものと考えられています。

※「炎症」とは、炎症を起こす生理活性物質(痛み物質)の放出→血管の拡張、血漿成分滲出、白血球の浸潤などの炎症反応→さらに痛み物質産生→さらに炎症反応増強、といった一連の生体反応を指します。
⑶ 筋線維そのものには痛みを感じる神経がありません。痛みは、炎症が広がって発痛物質が筋膜に届くようになってから感じるため、時間差があると考えられています。
普段からよく動かしている筋肉には、筋肉に血液を送る毛細血管がよく発達しています。一方、あまり使っていない筋肉には、毛細血管が十分に巡らされていません。そのため、急激にその筋肉を動かしても、損傷した筋線維に血液成分が集まるまで時間がかかり、さらに発痛物質が生産されるまで時間がかかるとも考えられています。日頃からよく筋肉を使っている人は、少々筋線維を痛めても修復がすぐに進む=筋肉痛が起こりにくいのかもしれません。
ちなみに、「歳をとると筋肉痛が遅く出る」と言われますが、これも定かではありません。同じ運動をした後の筋肉痛の出かたに年齢による時間差は認められなかったとする調査報告もみられています。
⑷ 私たちは運動するとき、筋肉を収縮させて力を発揮しています。この筋肉の収縮運動は、以下の3種類に分けられます。
・伸びながら力を発揮するエキセントリック(伸張性)運動 :重い荷物を下ろす、階段を下りるなど
・縮みながら力を発揮するコンセントリック(短縮性)運動 :重い荷物を持ち上げる、階段を上るなど
・伸縮なく力を発揮するアイソメトリック(等尺性)運動 :腕相撲など
に分けられます。このうち、特に筋肉痛になりやすいのがエキセントリック運動です。筋肉を伸ばすときのほうが筋線維への負荷が大きくなるため、損傷が起こりやすくなるからです。階段を下りるとき、坂道を下りるとき、重いものを下ろすときなどは、ゆっくりとした動作で筋肉痛を予防しましょう。

筋肉痛を起こす大きな原因は、日頃の運動不足です。まずは、適度な運動で筋肉を動かすことを習慣にしておきたいものです。
そのうえで、運動をするときには、ストレッチなどによる準備運動とクールダウンで、筋肉への負担を軽くするように心がけましょう。

CPR(心肺蘇生)・AEDの講習と実技

11月12日(日)、公益社団法人滋賀県柔道整復師会の湖南地域研修会で、草津南消防署にてCPR(心肺蘇生)・AEDの講習と実技を受けてまいりました。講習・実技では2名の救急救命士の指導員の先生から細かな補足や説明もあり、実際の現場での対応等を伺うことができ、有意義な研修会となりました。

 

誰かが倒れるのを目撃した、あるいは倒れている傷病者を発見したときの手順( CPR とAED)を学ばせていただきました。簡単に手順をまとめると、

①周囲の安全の確認

・倒れている場所が安全かどうかを確認し、危険な場所なら安全な場所に移動する。

②反応の確認

・意識がない場合は、大声で周りの人を呼び、その場で救急車を呼んでもらったり、AEDを取りに行ってもらったりする。

③呼吸を見る

・10秒以内で胸と腹の動きを見る。呼吸(胸腹部の上下運動)があれば、回復体位にさせ、気道を確保(頭部後屈、顎先挙上)する。

④胸骨圧迫

・ 救助者は、反応がみられず、呼吸をしていない、あるいは死戦期呼吸のある傷病者に対してはただちに胸骨圧迫を開始する。心停止かどうかの判断に自信が持てない場合も、心停止でなかった場合の危害を恐れずに、ただちに胸骨圧迫を開始する。

・ 心停止を疑ったら、救助者は気道確保や人工呼吸より先に胸骨圧迫を開始する。

⑤30:2

・強く、早く絶え間ない胸骨圧迫(30回)、人工呼吸(2回)を繰り返し加える。

・胸骨圧迫の部位は胸骨の下半分とし、深さは胸が約 5cm 沈むように圧迫するが、6cm を超えないようにする。1 分間あたり 100~ 120 回のテンポで胸骨圧迫を行い、圧迫解除時には完全に胸を元の位置に戻すため、力がかからないようにする。胸骨圧迫の中断を最小にする。

⑥AED

・AEDが到着したら、速やかに電源を入れて、電極パッドを貼付する。AEDの音声メッセージに従ってショックボタンを押し、電気ショックを行った後は直ちに胸骨圧迫を再開する。

・胸骨圧迫とAEDの使用は、救急隊などの二次救命処置(ALS)を行うことができる救助者に引き継ぐか、呼びかけへの応答、普段通りの呼吸や目的のある仕草が出現するまで繰り返し続ける。

 

心臓が止まっている間、心肺蘇生によって心臓や脳に血液を送り続けることは、 AEDによる心拍再開の効果を高めるためにも、さらには心拍再開後に脳に後遺症を残さない為にも重要なことが理解できました。心肺蘇生は胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせることが原則なので、効果的な胸骨圧迫と人工呼吸を行うためには、講習を受けて習得しておくことをお勧めします。

胸骨圧迫は、強く、速く、絶え間なく行うことが重要ですが、やはり胸骨・肋骨の骨折のリスクもあるようです。硬い胸郭に守られている心臓に圧迫を加えようというのだから、それなりの力が必要であり、骨折のリスクは当然なのかもしれません。むしろ、骨折しても当たり前の気持ちぐらいで行わないと、現行のガイドラインの基準を満たすような、深く、速い胸骨圧迫が出来ないとも言えます。

 

また、善意の気持ちから心肺蘇生を行いたいと思っても、うまくいかなかった場合に罪に問われることを恐れて、心肺蘇生を躊躇してしまう人もいるでしょう。

 

しかし、我が国においては、民法 第698条の「緊急事務管理」の規定により、悪意または重大な過失 がない限り、善意の救助者が傷病者などから損害賠償責任を問われることはないと考えられています。また、刑法第37条の「緊急避難」の規定では、害が生じても、避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り罰しないとされています。善意に基づいて、注意義務を尽くし救急蘇生を実施した場合には、民事上、刑事上の責任を問われることはないと考えられています。また、医師法第17条では、「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定められていますが、救命の現場にたまたま居合わせた市民が、救急蘇生法を行うことは医業には当たりません。厚生労働省は、市民によるAEDの使用は反復継続する意図がないものと認められるため、医師法違反にはならないとの見解を示しています。

 

とのことですので、もしものときは人命救助を優先し、躊躇せずに心肺蘇生を行うことがベターかなと思われます。このブログを読まれた方には、CPRとAEDの講習・実技の受講をお勧めします。

参考までに、厚労省、警察庁、消防庁、日本医師会、日本救急医学会、日本赤十字などが共同発表した『心肺蘇生法の指針』というガイドラインがhttps://www.fdma.go.jp/neuter/topics/kyukyu_sosei/sisin2015.pdf

にありますので一読されてみてはいかがでしょうか。

 

滋賀県小学生柔道大会

5月21日(日)、第39回滋賀県知事杯争奪 滋賀県小学生柔道大会が長浜市木之本町の木之本運動公園広場体育館において滋賀県柔道整復師会の主催で行われました。

当日は夏日で日差しが強かったですが、体育館の中には爽やかな風が吹き抜ける清々しい一日でした。午前中に個人戦、午後から団体戦が行われました。小学生の選手たちは仲間や父母が声援を送る中、必死の表情で相手と組み合っておりました。勝って喜ぶ姿、負けて悔しさに涙する姿、仲間を必死に応援する姿、柔道を通じて心身共に成長し、逞しく躍進する小学生たちが輝いておりました。

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今回、私は滋賀県柔道整復師会の会員として、大会の救護係を手伝わせていただきました。当会の西河先生、福島先生、田中先生、川戸先生に救護や応急処置についてご指導いただき、感謝申し上げます。大会会長の中江利信会長、大会委員長の久西先生、大会副委員長の川戸先生を中心に、本会の先生方や滋賀県柔道連盟、滋賀県青少年柔道協会、審判団の皆様、長浜市長、木之本警察署長、保護者、指導者、本大会の開催にご尽力いただいた関係者の皆様に深く御礼申し上げます。

花粉症の季節

3月に入り、徐々に暖かくなっており、ポカポカと温かく春の風を感じるようになってきました。同時にくしゃみや鼻水が多くなってきた近頃の私です( ;∀;)

今回は、私事でもありますが「花粉症って?」「対策はどうするの?」というブログです。

 

花粉症はなぜ起こる?

最近の調査によるとスギ花粉症の有病率は全国で20%を超えると報告されています(厚労省ホームページ)。少なくともスギ花粉症はアレルギー性鼻炎全体と共に増加していることは明白であり、注意が必要です。

人体には、ウィルスや細菌などの異物が侵入すると、抗体を作って体を守る免疫という防御機能があります。この免疫機能が過剰に働き、無害なものを異物として認識し排除しようとする現象がアレルギー。花粉症もその一種です。
花粉症の人は花粉が体内に入ると対抗するためにIgE抗体を作り、鼻や目の粘膜にある白血球の一種、肥満細胞に結合します。抗体がついた肥満細胞は花粉が入ってくるたびに増加。一定量になると、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質を放出します。 この化学物質がアレルギー症状を引き起こします。 ヒスタミンは目や鼻の粘膜の表面にある知覚神経を刺激し、くしゃみや鼻水、目のかゆみを引き起こします。ロイコトリエンは血管を拡張させて粘膜を腫らし、鼻づまりや目の腫れ、充血を引き起こします。

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花粉症の治療

 花粉症の治療は、他の鼻や眼のアレルギーの治療と基本的には同じですが、急激に花粉にさらされるため、急性の強い症状への配慮も必要となります。治療法を大きく分けると、症状を軽減する対症療法と根本的に治す根治療法の2つがあります。

●対症療法

内服薬による全身療法

点眼、点鼻薬などによる局所療法

鼻粘膜への手術療法

●根本治療

原因抗原(花粉など)の除去と回避

減感作療法(抗原特異的免疫療法)

 

 対症療法として抗ヒスタミン薬(第1世代、第2世代)、化学伝達物質遊離抑制薬、ロイコトリエン拮抗薬などの内服や点鼻、点眼、そしてステロイド薬の点鼻、点眼などが組み合わせられます。鼻の症状ではくしゃみ、鼻汁が強い症状の場合は第2世代抗ヒスタミン薬が多く使われます。鼻閉が症状の主体である場合には、ロイコトリエン拮抗薬が適応となります。どの症状も中等症以上になった場合、主として鼻噴霧用ステロイド薬が用いられます。より鼻づまりが強い場合、点鼻用血管収縮薬や時に内服のステロイド薬を使う場合があります。この内服ステロイド薬は2週間を目途として使用します。全身性のステロイド薬の筋肉注射は、アレルギー専門の施設ではその副作用の問題からほとんど行われていません。眼の症状に対しては抗ヒスタミン薬の点眼液、化学伝達物質遊離抑制薬の点眼液がその主体となりますが、症状の強い場合にはステロイド点眼液を使用することがあります。この場合には眼圧の上昇に注意が必要です。

 

現在、アレルギー治療薬の使用方法として、花粉飛散開始とともに薬剤の投与を始める初期治療が一般的です。季節が始まって症状が出現してから薬剤を服用し始めるより、効果が高いことが分かっています。副作用としては、抗ヒスタミン薬は多かれ少なかれ眠気が出ることがあります。鼻噴霧用ステロイド薬は局所のみで、血液中に入らないため副作用は少なくなっています。血管収縮薬は使いすぎると、血管が薬剤に反応しなくなり、逆に拡張し続けるため鼻閉がひどくなることがあり、注意が必要です。市販薬の点鼻薬にも含まれていますので注意して使用しましょう。

 

減感作療法は抗原特異的な免疫療法とも呼ばれ、花粉の抽出液の濃度を少しずつ上げ注射して、身体を花粉に慣らす(花粉に対し防御する免疫を獲得する)ようにさせる方法です。週に1ー2回の注射で進みますが、維持量からは2週間に1回を2ヶ月間続け、その後1ヶ月に1回の注射となります。これは体質改善のため2年以上続けることが重要です。やめた後でも効果が持続するのがこの治療法の特徴であり、2年以上続けた患者さんの約60%の方に効果が持続しています。

 

民間療法の効果は?

民間医療の内容は多彩です。米国では薬草関連、カフェイン関連、その他ホメオパシー、灸、アロマ療法、マッサージなどが中心のようです。

千葉大学大学院医学研究院の耳鼻咽喉科が行った民間医療の調査時の結果でも、その内容は非常に多彩です。頻度の高いものとして、漢方(医師の処方によらないもの)、甜茶、鼻スチーム療法、鼻内洗浄、クロレラ、ハリ、花粉グミ、シジュウム茶、灸、ツボ、情動水、シジュウム入浴剤、波動水、スギの葉エキスなどでしたが、近年の調査では、ヨーグルト、乳酸菌剤やアロマ療法の増加が目立っています。

 

 しかし、民間医療の科学的評価についてはほとんど行われていません。その方法が必ずしも容易ではないこと、コスト、時間がかかることも原因です。前述の調査では、アンケートにより患者さんが実感している民間医療の効果を調べたところ、治療内容によって異なりますが、代表的なものに対しては、漢方薬では効果有50%、効果無35%、不明15%、甜茶に対しては効果有14%、効果無51%、不明35%、鼻スチーム療法は効果有46%、効果無44%、不明10%との結果です。すなわち、患者さん自身の評価ですが、漢方やスチーム療法などでは40%以上の有効率も示されましたが、多くのものは20~30%以下でした。また、有効率が高いものでも、逆に効果を認めなかったとする率が高いのも特徴です。また、鼻スチーム療法は温度を守れば副作用もなく、どうしても薬物治療を受けたくないという妊婦さんには、使用中の一時的効果は期待されます。中には、リバウンド現象といって使用後に一過性に鼻閉が強くなる方もいます。使用頻度が増加しているヨーグルト、乳酸菌剤ですが、一般医療機関を受診しているアレルギー性鼻炎患者さんの調査では、効果ありと判断されている方は30%以下です。

 民間療法によってストレスの改善が図られ、体への有害成分が含まれていなければ民間医療に問題は無いとも考えられます。しかし、花粉症に効果があるといったことを公言して販売するなら、その疾患に対する有効性を示す必要がありますが、残念ながら民間医療の多くに十分な効果の根拠があるとは言えません。通常の薬物の開発では、患者さんにも投与する医師にもわからないようにしたその薬物と偽薬を投与し、それぞれの効果を評価した後に、投与されたものが本当の薬物だったのか、偽薬だったのかを明らかにして薬物の有効性を調べる盲検試験というものが行われます。この時、偽薬でも医師から投与された場合、ある程度の「有効性」が認められることが少なくありません。これをプラセボ効果と言いますが、特にアレルギー性鼻炎(花粉症を含む)ではプラセボ効果が高いことが知られています。偽薬が30%を越える高い有効性、すなわちプラセボ効果がみられた報告もあります。薬物の治療効果を証明するためにはこのような盲検試験が必要です。

安全性が危惧される民間医療も指摘されています。例えば、薬草療法で比較的広く用いられているephedra(エフェドラ、麻黄)は重篤な心血管障害、神経障害を引き起こす可能性があり、また、医療機関での処方によらない漢方薬には重金属や毒性物質の汚染の可能性があること、同じ薬草でもそれぞれの産地によって組成の違いがあることなども意外に知られていません。民間医療が持つ危険性の情報が、利用者に伝わっていないことも問題となります。

 

治療への近道

まずは御自身の症状、特にどんな症状に困っているのかを医師に相談し、治療法について医師から十分な説明を受け、症状に合わせた治療を受けることです。今年度も多くの地域で、花粉が非常に多いと予想されています。ただ、花粉飛散数がたとえ2倍、3倍となっても症状が2倍、3倍と強くなる訳ではなく、症状はあるところで一定になります。逆に花粉数が半分になったからといって、症状の強さも半分になる訳ではありません。予想花粉飛散数は参考にしながらも、過剰に反応する必要はなく、症状に合わせた治療をきちんと受けましょう。

 

一方、花粉症の自然改善は中・高年になるまでは多くありません。昨年まで症状が無かった方でも突然発症する方もみられます。昨年まで症状がなかった方でもくしゃみや水様性鼻水、眼のかゆみなどが続いた場合には医療機関への受診をお勧めします。また、一度強い症状が出て鼻の過敏性が強くなってしまうと厄介です。例年症状の強い方は、少しでも症状を感じたら早期の治療の開始をお勧めします。そのことがシーズン中の症状の緩和に重要です。

 

日常生活で心掛けたい花粉症対策

●家に入る前に花粉を払う

外側に着る服は花粉の付着しにくい素材を選びます。家に入る前には、服や持ち物に付いた花粉をよく払い落とします。玄関の外に洋服ブラシを用意しておくのもいいでしょう。

●帰ったら洗顔・うがい・鼻をかむ

顔や手についた花粉をしっかり洗い落とします。うがいをして口に入ってしまった花粉も洗い流します。鼻を洗うときは、ぬるま湯を使うと痛みがありません。

●掃除をこまめにする

花粉の多い日は出来るだけ窓を開けず、こまめに掃除をします。フローリングの床や畳は掃除機をかけた後、絞った濡れぞうきんで拭き取ります。ソファーやカーテン等も掃除ローラーを使うといいでしょう。

●洗濯物や布団は外干しを避ける

室内干しや布団乾燥機を使います。外で干す時には、一枚ずつ花粉を払い落としてから取り込む。払った花粉が窓から家に入らないように注意します。

 

いかがでしたでしょうか。花粉症でお困りの方は、ぜひ参考にして下さい。

 

参考:

厚労省ホームページ 『花粉症特集』http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kafun/index.html
村山 貢司 著『気象病 天候が健康を脅かす』
斉藤 洋三 総監修『 これだけは知っておきたい花粉症~早めの対策と治療法~』

湖南地域の研修会・地域会

1月21日、湖南地域の研修会と地域会に参加してまいりました。

研修会では、京都教育大学の松林昭先生による「プロとしてのコーチングの基本の考え方とスキル」について講演していただきました。

講演では、生の教育現場での実践・経験や松林先生の生き方を通して培った、魅力のある人間・社会に役立つ人間、活躍する選手を育てる方法を勉強させていただきました。20170121_1新年会

研修会の後半では、本会の福島保険部長による、保険の取り扱いについての研修をしていただきました。

 

地域会では、美味しい料理に舌鼓を打ち、湖南地域の先生方との交流を深めることが出来て、予定された地域会の時間もあっという間に過ぎ、私にとって有意義なものとなりました。20170121_2新年会

新年交歓会に参加

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平成29年1月8日(日)大津市の琵琶湖ホテルに於いて、滋賀県柔道整復師会の新年交歓会が開催され、私も参加して参りました。
本会顧問の国会議員、県議会議員の先生方をはじめ、会長、理事、監事、地域長、各部部員が一堂に会されておりました。

私は昨年度の新入会員であり、立ち振る舞いも分からず緊張しておりましたが、皆様から温かいお声を掛けていただきました。

新年交歓会は終始、和やかな雰囲気で進行し、相互の親睦を深めるとともに、本年の更なる発展を誓い合いました。

新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。

旧年中は格別のご厚情を賜りましたことをスタッフ一同、大変感謝しております。

この感謝の気持ちを胸に全力で施術に努め、皆様にとってさらに信頼のある、居心地の良い院にしていきたいと思っております。その為には、皆様のお考えやお気持ちを、私たちがしっかり理解していなければなりません。 今まで私たちの力不足で気分を害されたり、ご迷惑をおかけしたりしていたかもしれません。今後は皆様の表情の変化や、お声にもっと敏感に対応させて頂けるよう励み、皆様と一緒に笑顔の溢れる院にしていけたら幸いだと思っております。些細なことでも構いませんので、お気軽にお声を掛けて頂けたら嬉しく思います。

 

2017年、皆様にとってケッコーな年になることと、私たちが一瞬でもそのお手伝いをさせて頂けることを願って、新年の挨拶とさせて頂きます。

本年も変わらぬお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。 皆様のご健勝とご発展をお祈り申し上げます。

 

平成29年 1月     いしべ整骨院  院長

冷罨法(寒冷療法・アイシング)について

本日12月16日は、この冬1番の強い寒気が流れ込んでいる影響で、日本海側では雪が降り、西日本でも山沿いを中心に雪が舞っております。今朝の出勤時にも雪が舞っており、私も寒さに震えておりました。

 

こんな寒い時期には、冷罨法(寒冷療法・アイシング)は、「ちょっと。。。」と思われる患者さんもおられるでしょう。しかし、外傷後の応急処置として、非常に効果的でありますので、当院でも症状に合わせて行っております。当然、寒い場所での冷罨法は苦痛です。修行や荒行ではないので、それ寒い場所では行わないようにして下さい。風邪も引いちゃいます。この季節に冷罨法を行う時は、必ず暖房器具を使って部屋の温度や湿度を上げて行うようにして下さい。

 

当院での施術の際に、患者さんに対して「患部に炎症があるので、早く治るように、アイシングしますね。」と簡素に言うことがよくあります。冷罨法は、組織内への血液や血漿成分の漏出を減少させ、外傷部位の浮腫・炎症などの抑制を目的として行います。また、痛みやそれに伴う筋スパズムの軽減、筋緊張の緩和、神経筋反応の促通のためにも行います。今回のブログでは、もう少し詳しく説明したいと思います。

 

冷罨法の分類

①伝導冷却法:氷・冷水などを直接,または容器に入れて冷却する方法。一般的な冷罨法はこれです。

②気化冷却法:フルオロメタン等の揮発液を塗布して、気化熱により熱を奪う方法。コールドスプレーがこれですね。

③対流冷却法:冷風や冷水などにより熱を奪う方法。扇風機や極低温療法はこれですね。

 

冷罨法による生理学的作用

ざっと6つの項目に分けて説明します。

(1)血液(2)神経(3)筋肉(4)代謝(5)組織(6)感覚 に対する作用

 

(1)血液に対する作用

皮膚表面の局所的な冷却によって、浅在血管が部分的に収縮します。

・組織温20℃以下で、ゆっくりとした全体的な血管収縮します。

・組織温10℃以下で、反射作用により急速で全体的な血管収縮します(一次的血管収縮)。

①一次的血管収縮

・組織での酸化活動抑制:酸素ヘモグロビンの解離がおこらなくなります。

・リンパ液の生成減少、浮腫・腫脹の形成抑制:寒冷での血管収縮によって減少します。

・手指などの急激な冷却では、一次的血管収縮に続いて、二次的血管拡張がおこります。

②二次的血管拡張

・冷却開始後8~15分に、皮膚温が10°以下になると、一時的な血管拡張が起こり、不規則な皮膚温変化(乱調反応やハンティング反応と呼ばれます)がみられます。

・動静脈吻合部での血管拡張で、神経性の反射機構によるものと考えられています。

 

(2)神経に対する作用

神経の伝導速度は、急速に激しい温度低下があると下降します。末梢神経の抑制作用は選択的で5℃以下になると、神経-筋接合部の活動が低下して神経-筋伝導速度が遅くなります。

 

末梢神経では,有髄で細いAδ線維が最も影響を受けやすく、次いでγ線維、β線維、α線維、C線維の順に影響を受けやすいです。冷罨法では、Aδ線維の速く鋭い痛みを抑制し,痛みの感受性を低下させます。δ線維の伝える鋭い痛みは寒冷により抑制されますが、C線維の伝える鈍い痛みは抑制されにくいです。

 

(3)筋肉に対する作用

・冷罨法は、筋力の増加および低下のどちらにも関係します。短時間(5分程度)の冷罨法では、筋力の増強が認められます。30分以上の冷罨法では、筋の血流の減少や筋の粘性の増加などにより、筋力は低下します。

・短時間の冷罨法は、α線維の活動を高め、筋収縮を促進させます。長時間の冷罨法は、γ線維の抑制と筋紡錘の興奮低下、関節周囲組織の粘性増加により、クローヌスやアキレス腱反射の軽減等の報告もされています。

 

(4)代謝に対する作用

・冷罨法によって代謝は低下(10℃低下ごとに半減)、組織細胞の酸素需要は減少します。

・代謝の抑制は、急性外傷に対する寒冷療法の最も重要な効果です。

 

(5)組織に対する作用

冷罨法は、組織の温度を低下させ、組織の粘性が高まり、伸張に対する抵抗を増加させます。

 

(6)感覚に対する作用

・冷罨法の寒冷刺激は、痛みを伝達するAδ線維の神経伝達速度を低下させ、疼痛閾値を上昇させ、それによって痛みが軽減します。これには、ゲートコントロール理論の刺激抑制が関係します。

・自覚的感覚として、時間の経過とともに変化します。まず、冷たさ、深部の痛み、温かさ、針で突かれるような痛み、無感覚へと変化していきます。

 

冷罨法の適応

主な適応としては以下のものになります。

①急性期の炎症緩和(浮腫・腫脹など)

②局所の疼痛軽減

③有痛性筋スパズムの軽減

④中枢性神経疾患の痙性軽減

⑤神経筋の反応抑制および促通

⑥褥創治癒促進

 

冷罨法の禁忌

主な禁忌は以下のものです。

①循環器系疾患を有するもの

②レイノー(Raynaud)病

③寒冷アレルギーを有するもの

④感覚障害のある部位

⑤心臓および胸部

⑥寒冷に対して拒否的なもの(特に高齢者)

 

寒冷療法は、温熱療法とは違って、患者さんは心理的抵抗を持っていることもありますので、十分な配慮と説明を行ってから、寒冷療法を行う必要があります。

 

①高齢者、小児には充分な説明をし、健側で試してから行うなどの配慮をします。

②冷却中の温度変化について説明し、感覚がなくなった時点で寒冷療法を終了します。

③冷却部位をチェックし、凍傷に注意します。

④家庭用冷凍庫の氷などは凍傷の危険があるので、直接皮膚に当てないようにします。

⑤局所的な反応だけではなく、全体的な反応も観察します。

 

冷罨法(寒冷療法・アイシング)は、疼痛緩和と筋緊張緩和の効果が認められていますので、今回のブログをご覧になった方は、ぜひ効果的に利用してみて下さい\(^o^)/

書籍紹介:『体の使い方を変えればこんなに疲れない!』

先日、ぶらり本屋に立ち寄った際に、目に止まった書籍を紹介します。

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体の使い方を変えればこんなに疲れない!』(産業編集センター/東京都文京区)の著者は、理学療法士で介護福祉士、介護支援専門員の岡田慎一郎氏。岡田氏は、古武術の身体運用を参考にした介護から育児支援まで幅広い分野で活動されておられます。

 

内容のポイントは「肩甲骨」「股関節」「上下半身のバランス」の3つにあり、全身の連動性を高めた合理的な体の使い方を知れば、筋力・体力がなくても毎日がラクに過ごせるようになるとのこと。正しい体の使い方を身に付けて、仕事、家事、育児、趣味を積極的に楽しむことを提唱されています。

 

イラスト入りの非常に分かり易い内容で、この本を読めば日常の体の使い方にすぐに役立ちます。また、私としてもどのように体を使えばいいか、分かり易く説明する際に役立つので助かります。

 

ということで、待合室の本棚に投入しておきますので、来院された際には是非お読み下さい(*^_^*)

人体はテンセグリティー構造?

テンセグリティー(Tensegrity)」とは、テンション(tension):張力インテグリティー(integrity):統合という言葉から作られた造語です。圧縮力と張力の力のつり合いによって、構造が自己安定する構造システムを指し、ドーム型の建築物やテントなどに応用されています。

 

この建築的概念を生物学的に応用したのがハーバード大学医学部のイングバー博士で、生物の構造が全てテンセグリティーで出来ていると主張したのが始まりです。生物の構造は、圧縮と張力の複合的均衡で成り立ち、それが階層的に重なったものとみなし、人体の構造全てがテンセグリティにより構成されていると考えます。

 

約200個の骨から成る人体がが安定して立ったり動いたり出来るのは、筋膜に包まれた筋肉や腱や靭帯の張力があるからで、それを圧縮力に耐える骨が受け止め、全体として複雑なテンセグリティー構造を作って身体を支えているからです。骨格のみが重要と思われやすいのですが、人間を構成するものには骨格はもちろん、内臓や筋肉靭帯、そしてそれらを体内で包み、それぞれが本来あるべき位置に柔軟に固定している筋膜という存在があります。この筋膜は身体内部で縦横無尽に張り巡らされていることで、人体が形作られているといっても過言ではありません。(ちなみに筋肉には、体を動かすための「骨格筋(自分の意志で動かせる筋肉)」、内臓をつくる「平滑筋(自分の意志で動かせない筋肉)」、心臓をつくる「心筋(自分の意志で動かせない筋肉)」の3種があります。そのうち骨格筋は全体の40%を占めており、骨格筋だけで約400筋、平滑筋と心筋を合わせると約600筋もあります。)

 

ということは、損傷した筋膜に包まれた筋肉があると、その筋肉が付着している骨を引っ張り全身のバランスを崩してしまいます。この状態で骨の位置を強引に矯正しても、一時的な修正でしかなく、すぐにバランスが崩れてしまいます。筋膜の損傷を矯正し、機能回復させなくては根本解決にはなりません。このように筋膜の損傷や筋肉の緊張による影響は身体構造を変化させ、その変化によって、様々な問題が症状として現れると考えられます。

 

テンセグリティー構造のように、「体を全体として一つ」として捉えるということは、人体に歪みが生じた際に、人体を正常な状態に戻すにあたっての施術の大切な考え方ということかもしれません。

 

 

ということで、理解を深める為にテンセグリティーモデルを作ってみました<(`^´)>

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このテンセグリティモデルで体を見ると、ストロー:骨格、輪ゴム:筋肉・筋膜・腱・靭帯などです。

骨は、それのみで構造を維持することはできず、筋・筋膜・腱・靭帯などの張力によって保持されています。 作ったモデルは一点を押すと潰れて、指を離すと戻ります。とても楽しい。

 

外から押す圧力=外力でしょうか。これが自ら動く=運動でしょうか。 繰り返し同じ点を指で押していると少々変形=繰り返し外力による歪みや損傷でしょうか。輪ゴムが硬く、伸び縮みしなくなったら?輪ゴムが切れてしまったら?ストローの強度が弱かったら?などなど考えながら遊んでみました。

 

・・・というこの作業、是非体験してみて下さい。私の場合は3時間程度で作製出来ましたが、組み立て前の準備(ストローのカット、ストローに輪ゴムを引っかける作業)に2時間以上かかり、意外と苦戦しますorz