CPR(心肺蘇生)・AEDの講習と実技

11月12日(日)、公益社団法人滋賀県柔道整復師会の湖南地域研修会で、草津南消防署にてCPR(心肺蘇生)・AEDの講習と実技を受けてまいりました。講習・実技では2名の救急救命士の指導員の先生から細かな補足や説明もあり、実際の現場での対応等を伺うことができ、有意義な研修会となりました。

 

誰かが倒れるのを目撃した、あるいは倒れている傷病者を発見したときの手順( CPR とAED)を学ばせていただきました。簡単に手順をまとめると、

①周囲の安全の確認

・倒れている場所が安全かどうかを確認し、危険な場所なら安全な場所に移動する。

②反応の確認

・意識がない場合は、大声で周りの人を呼び、その場で救急車を呼んでもらったり、AEDを取りに行ってもらったりする。

③呼吸を見る

・10秒以内で胸と腹の動きを見る。呼吸(胸腹部の上下運動)があれば、回復体位にさせ、気道を確保(頭部後屈、顎先挙上)する。

④胸骨圧迫

・ 救助者は、反応がみられず、呼吸をしていない、あるいは死戦期呼吸のある傷病者に対してはただちに胸骨圧迫を開始する。心停止かどうかの判断に自信が持てない場合も、心停止でなかった場合の危害を恐れずに、ただちに胸骨圧迫を開始する。

・ 心停止を疑ったら、救助者は気道確保や人工呼吸より先に胸骨圧迫を開始する。

⑤30:2

・強く、早く絶え間ない胸骨圧迫(30回)、人工呼吸(2回)を繰り返し加える。

・胸骨圧迫の部位は胸骨の下半分とし、深さは胸が約 5cm 沈むように圧迫するが、6cm を超えないようにする。1 分間あたり 100~ 120 回のテンポで胸骨圧迫を行い、圧迫解除時には完全に胸を元の位置に戻すため、力がかからないようにする。胸骨圧迫の中断を最小にする。

⑥AED

・AEDが到着したら、速やかに電源を入れて、電極パッドを貼付する。AEDの音声メッセージに従ってショックボタンを押し、電気ショックを行った後は直ちに胸骨圧迫を再開する。

・胸骨圧迫とAEDの使用は、救急隊などの二次救命処置(ALS)を行うことができる救助者に引き継ぐか、呼びかけへの応答、普段通りの呼吸や目的のある仕草が出現するまで繰り返し続ける。

 

心臓が止まっている間、心肺蘇生によって心臓や脳に血液を送り続けることは、 AEDによる心拍再開の効果を高めるためにも、さらには心拍再開後に脳に後遺症を残さない為にも重要なことが理解できました。心肺蘇生は胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせることが原則なので、効果的な胸骨圧迫と人工呼吸を行うためには、講習を受けて習得しておくことをお勧めします。

胸骨圧迫は、強く、速く、絶え間なく行うことが重要ですが、やはり胸骨・肋骨の骨折のリスクもあるようです。硬い胸郭に守られている心臓に圧迫を加えようというのだから、それなりの力が必要であり、骨折のリスクは当然なのかもしれません。むしろ、骨折しても当たり前の気持ちぐらいで行わないと、現行のガイドラインの基準を満たすような、深く、速い胸骨圧迫が出来ないとも言えます。

 

また、善意の気持ちから心肺蘇生を行いたいと思っても、うまくいかなかった場合に罪に問われることを恐れて、心肺蘇生を躊躇してしまう人もいるでしょう。

 

しかし、我が国においては、民法 第698条の「緊急事務管理」の規定により、悪意または重大な過失 がない限り、善意の救助者が傷病者などから損害賠償責任を問われることはないと考えられています。また、刑法第37条の「緊急避難」の規定では、害が生じても、避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り罰しないとされています。善意に基づいて、注意義務を尽くし救急蘇生を実施した場合には、民事上、刑事上の責任を問われることはないと考えられています。また、医師法第17条では、「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定められていますが、救命の現場にたまたま居合わせた市民が、救急蘇生法を行うことは医業には当たりません。厚生労働省は、市民によるAEDの使用は反復継続する意図がないものと認められるため、医師法違反にはならないとの見解を示しています。

 

とのことですので、もしものときは人命救助を優先し、躊躇せずに心肺蘇生を行うことがベターかなと思われます。このブログを読まれた方には、CPRとAEDの講習・実技の受講をお勧めします。

参考までに、厚労省、警察庁、消防庁、日本医師会、日本救急医学会、日本赤十字などが共同発表した『心肺蘇生法の指針』というガイドラインがhttps://www.fdma.go.jp/neuter/topics/kyukyu_sosei/sisin2015.pdf

にありますので一読されてみてはいかがでしょうか。